(誰かに見られているような気がする…?)

駅にいるのは、カバンを持った旅行者とスーツ姿のサラリーマンしかいなかった。

気のせいだろうかと思いながら、瑛太は電話帳から宗助の名前を出した。

「もしもし、宗助さんですか?」

宗助と電話が繋がったのと同時に、瑛太は出口の方へと足を向かわせた。

「今どこにいるんだ?」

そう聞いてきた宗助に、
「今、駅についたところです。

これからタクシーでホテルへ向かいます」

瑛太は答えた。

(もしかして、後をつけられているのか…?)

振り返って後ろを確認するも、それらしき人影は見当たらない。

「どうした?」

宗助と電話の最中だったことを思い出した。