東サダオの部屋は8階の角部屋だった。

先ほどと同じように瑛太がヘアピンを使ってドアを開けると、中に足を踏み入れた。

「質素だなあ」

夏々子が部屋の中を見回すと、毒づくように呟いた。

「シロクマの剥製でも置いてあるのかと思ったけど、何もねーな」

瑛太も毒づくように呟いた。

リビングには、薄型テレビと革張りのソファーしか置いていない。

「忙しいから買い物に行くヒマもないってか。

いいご身分なこった」

桑田は皮肉っぽく言った。

宗助は白い手袋を身につけながらリビングを見回すと、
「隠し場所はたぶん…」
と、ソファーに歩み寄った。