時間は一刻、また一刻と近づいてきている。

同時に、ツアーが1日、また1日と終わりへと向かって近づいてきている。

「――12月、25日か…」

この日がくれば、自分は宗助の元から離れないといけない。

年明けになれば、宗助は解散を発表すると言った。

「宗助さんの隣でギターを弾くことが、俺の当たり前だったのに…」

スケジュール表のアプリを閉じると、瑛太はスマートフォンを握りしめた。

――もしかしてとは思うけど、独学か?

――君が望むならだけど…僕の隣でギターを弾いてくれないか?

「どうせ離れるんだったら、何であんなことを言ったんだよ…」

瑛太が呟いた時、
「うわっ!?」

誰かと肩がぶつかった。

「おおっ、と…すまなんだね」

独特のイントネーションが特徴的な名古屋弁に、瑛太は視線を向けた。