「えっ…?」
と、夏々子。

「夢って、何の話ですか?」
と、瑛太。

「この厳しい世の中、僕たちは有名になった。

“日本を代表するバンド”と言う地位も手に入れた。

例えるとするなら、それはまるで夢物語だ。

バンドをしているものなら誰もが手に入れたいと思う地位を、僕らは簡単に手に入れた。

その地位を手に入れて嬉しい反面、夢を見続けるのはよくないんじゃないのか?」

「夢って…」

そう語った宗助に、夏々子は返すことができなかった。

「もうそろそろ、若手のバンドに僕らの地位を譲った方がいい」

「世代交代、と言うことですか?」

そう聞いてきた桑田に、宗助は首を縦に振ってうなずいた。