「そんな、隠してなんか…」

「俺らにも、ほんでナナコちゃんたちにも君は何を隠しておるのやか?」

言い返そうとする宗助をさえぎるうように、荒畑は問いつめた。

「それは、どうしても言えないことなのやか?」

荒畑の視線から逃れるように、宗助は目を伏せた。

そんな彼に荒畑は息を吐くと、
「言えないんやったら、もういいや」
と、言った。

宗助は伏せていた目をあげた。

「ただし、バカなことを考えておるんやったらやめた方がいいや」

荒畑はそう言った後、ソファーから腰をあげた。

「自分の身を犠牲にして、一体どうするって言うんやか?」

宗助に一言告げるように言った後、荒畑は社長室を後にした。