荒畑は宗助を見つめた。

「どうしてほんなことを思ったんやか?」

荒畑は笑いながら聞き返した。

宗助が荒畑を見つめてきた。

自分を見つめるその目に、
「何だ、わかっていたんやか」

荒畑はやれやれと言うように息を吐いた。

「バウムクーヘンは僕を“答えさせる”ための道具にしか過ぎないでしょう」

そう言った宗助に、
「出されたものはちゃんと食べた方がいいやよ。

食べなかったらバチが当たるんやよ」

荒畑は言い返した。

宗助は口を開こうとしなかった。