「…いつの間に、私と夏々子さんのDNAを調べたんですか?」

そう聞いた岡島に、
「あなたが面接にきた時、僕はあなたが幼い頃の夏々子さんに似ていると思いました。

でも似ているだけじゃ説明できないと思い、失礼ながら僕の知りあいに頼んであなたのことを調べさせてもらいました。

調べた結果、あなたに行方不明の娘さん――つまり、夏々子さんがいたと言うことがわかったんです。

まさかと思い、あなたの髪の毛と夏々子さんの髪の毛をDNA鑑定の材料として使わせてもらいました。

そしたら、この結果です」

宗助は広げた紙をたたむと、スーツのポケットに戻した。

岡島は自分の頭に手を当てた。

「もう1度聞きます。

あなたはどうして、なっちゃ…夏々子さんを捨てたんですか?

なっちゃんは義理の父親からひどい虐待を受けて、そのせいで不眠症を患ったうえに、自殺を考えた。

幼いなっちゃんにはどれだけつらかったことか、あなたにはわかるんですか?」