「君は、バカな子だよ…。

何か困ったことがあったら、私に頼めばよかったのに…」

そう言って涙を浮かべた四月一日に、ケリーは唇を閉じた。

「そんな男なら、私が何とかできたのに…」

「――でも、私のせいでお父様を…」

そう言ってさえぎったケリーを、
「父親だから、私を頼って欲しかった。

あの時だってそうだ。

14歳の時、施設育ちだと言っていじめてきたクラスメイトの女の子をケガさせた時も、私を頼って欲しかった」

四月一日が言った。

ケリーは目を伏せた。

「私は…私は敬子を、本当の娘だと思ってる。

君は…君は私のことを父親だと思っていないのか?」

その質問に、ケリーは首を横に振った。