「瑛太、僕は熱射病に…」

そう言って椅子から立ちあがろうとした宗助に、
「玉井さん、無理は禁物です。

想定外の事態は仕方がないことです」

ケリーがさえぎった。

「ケリー、本当にいいのか?」

四月一日がケリーに声をかけた。

「社長、私はミュージシャンです。

玉井さんが回復するまでステージを盛りあげてきます」

ケリーは四月一日に向かって笑いかけた。

「ケリーさん、スタンバイできました」

スタッフがケリーに向かって声をかけた。

ケリーはこの場にいる全員に笑いかけると、
「行ってきます」

そう言った後、ヒールを鳴らしながらステージへと向かって行った。