ジャーンッ!

瑛太がギターをかき鳴らした。

歓声が大きくなる。

夏々子は大きく深呼吸をした。

「ワン、ツー、スリー!」

夏々子の合図で始まった1曲目は『マティーニ』に収録されている曲『レディハスラー』だった。

踊り出すような瑛太のギターから始まった曲は、あっと言う間に会場の温度を上昇させた。

8ビートを刻んでいる桑田のドラムが会場をさらに盛りあげる。

その熱気は真夏の太陽に負けていない。

夏々子が両手でマイクスタンドを持ちあげた時、宗助に肩をつかまれた。

「えっ、何…?」

突然肩をつかまれた理由がわからなくて戸惑っている夏々子に、
「演奏を止めろ!」

宗助の大きな声に、瑛太と桑田は演奏を止めた。