「これ、どうしてパソコンで印刷されているのかしら?」

夏々子は紙に書いてある文字を指差した。

「烏山から送られてきた脅迫文は新聞の切り抜きなのに対し、どうしてこれはパソコンから印刷された文字なのかしら?」

そう聞いた夏々子に、
「そりゃ、別人だからじゃないか」

桑田が答えた。

「そうかしらね…」

夏々子は呟くと、ジーンズのポケットに紙をつっこんだ。

そうしている間に、宿泊先のホテルに到着した。

ロビーに足を踏み入れると、
「お疲れ様でした」

パーマがかかった黒髪が特徴的なスーツ姿の男が宗助の元に駆け寄ってきた。

「これはこれは、四月一日さんではありませんか」

宗助はスーツ姿の男――四月一日に頭を下げた。