「ふーん、iPhoneなのか」
と、瑛太が呟いた。

「しかも最新のヤツだ」
と、桑田が呟いた。

ケリーはiPhoneの画面を指でタップした後、それを耳に当てた。

「もしもし、お父様?

私、敬子よ」

そう言ったケリーに、
「お父様?」
と、夏々子が言った。

「四月一日氏だな」

瑛太が言った。

「敬子…だから、“ケリー”なのか」

桑田が納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。

「緊急で申し訳ないんだけど、機材の手配をお願いしてもよろしいかしら?

ええ、玉井さんの方で用意していた機材が全部故障してしまったらしくて…今日の夕方あたりにつくように間にあわせる?

ありがとうございます、お父様。

ええ、お待ちしています…では」

ケリーはiPhoneを耳から離した。