「ちょっとヤスくん、アイスを選んでよ。

早くしないと溶けちゃうじゃんか」

瑛太は不機嫌そうに桑田に言い返した。

「“-1200℃のアイスドール”、だな」

宗助が呟くようにそう言ったのに、
「何が?」

夏々子は首を傾げた。

「彼女――ケリーを例えるとするならそうなるかなって思って」

そう言った宗助に、
「絶対零度(-273℃)よりも下ってこと!?」

夏々子が驚いたと言うように聞き返した。

「何でなっちゃん、絶対零度の温度を知ってるんだよ…」

俺の名前は覚えてくれた試しはないのに…と、桑田は小さな声で呟いた。