「彼女を口説き落とすのは大変やったんじゃないか?

相手はお嬢様なんそやから簡単に首を縦に振ってうなずいてくれえへんかったやろ?」

荒畑が話に入ってきた。

「そんなことありませんよ」

宗助は首を横に振って答えた。

「ケリーさん、すごく気さくな方でしたよ。

僕よりも背が高かったことに驚きましたけど、話をしてみると親しみやすかったんですよ。

その後、ケリーさんの行きつけの焼肉屋さんに行きましたね」

そう言った宗助に、夏々子が不機嫌そうに視線を向けてきた。

「なっちゃん、仕事だから」

瑛太がなだめるように言っても、夏々子は不機嫌なままだった。

「今度連れて行ってあげるから」

そう言った宗助に、夏々子の機嫌が元に戻った。