宗助は返事する代わりに、首を縦に振ってうなずいた。

「じゃ」

千恵美は一言言うと、その場を立ち去った。

彼女の後ろ姿が見えなくなると、
「――あの時、君を守ろうと決意してたら…全てが違ってたのかな?」

宗助は自分に言い聞かせるように呟いた。

思考を切り替えるように頭を横に振った後、
「なっちゃんには、寂しい思いをさせてしまったな」

そう呟いた後、宗助もその場から立ち去った。


優しい波の音に、夏々子は閉じていた目を開けた。

(――あたし、いつの間にかまた寝ちゃったんだ…)

寝起きのせいでダルい躰を起こすと、そこに広がっていた景色に驚いた。

「――えっ…!?」

目の前には広がっていた景色は、海だった。