「ノブオだって直前まで迷ってたじゃないのー!」

夏々子は頬をふくらまして、何クソと言うように桑田に言い返した。

「俺はアーティストじゃなくて曲で迷ってたんだよ。

なっちゃんはアーティストの時点で迷ってるじゃん」

桑田も何クソと言うように言い返した。

「まあまあ、アジカンとスコットランド民謡だっけ?」

夏々子と桑田をなだめると、宗助は問いかけた。

「「君という花」と「埴生の宿」、ね。

これでもたくさんの中から候補を絞った方よ」

「そうか」

宗助は呟くように返事をすると、
「両方歌って見て、気に入った方をアルバムに入れるって言うのはどう?」

夏々子に提案した。