「歌えた!」

嬉しいと言うように言った夏々子に、
「完璧だったよ」

瑛太は肩にかけていたギターを下ろした。

「後は…ラスト1曲だな。

宗助さんが歌うんだっけ?」

スティックをドラムのうえに置くと、桑田が言った。

「いや、カバー曲入れたらラスト2曲だよ。

なっちゃん、カバー曲決まった?」

宗助は夏々子に歩み寄った。

「まだ迷ってる」

そう言った夏々子に、
「まだ決まってねーの?」

桑田が呆れたと言うように返事をした。