彼女を拾って、“夏々子”と名前をつけた。

夏々子を、自分の娘として大切に育てて行こうと思った。

この先たとえどんなことがあったとしても、夏々子だけは守って見せる。

ボロボロに傷ついても、彼女だけは守りたい。

小さな彼女を抱きしめながら、宗助は決意した。

宗助は夏々子を抱きあげた。

「大丈夫だよ」

小さな彼女の耳に、ささやいた。

「ここにいるのは、僕だけだ。

怖い人がきたら、僕が守ってあげる。

僕は、なっちゃんを1人にさせないから」

呪文のように夏々子にささやいた後、背中をポンポンとたたいた。

口を開いて紡がれた歌は、スコットランド民謡の中で1番好きな歌『埴生の宿』だ。

それを子守唄として、夏々子の耳に聞かせた。

 * * *