夏々子が宗助を見あげた。

宗助は夏々子の頭をなでると、
「もう寝ようか?」

そう言った宗助に、夏々子は首を縦に振ってうなずいた。

寝室に入ると、2人で一緒にベッドにもぐりこんだ。

「――ソウちゃん」

夏々子が宗助を抱きしめた。

宗助はそんな彼女の華奢な躰を抱きしめた。

夏々子は目を閉じた。

宗助は彼女の背中をポンポンとたたくと、唇を開いた。

そこから紡ぎ出されたのは、出会ったころからずっと聞かせている子守唄――スコットランド民謡『埴生の宿』だった。