「だけど元カノ曰く、何かを調べているようだった」

そう言った夏々子に、
「喫茶店を出た楢崎の後を追ったのは、ナナコちゃんだったのか!?」

本山が驚いたように言った。

「喫茶店?」

ピクリと片眉をあげると、徳重が聞き返した。

本山はあさっての方向に視線を向けた。

「本山さん、喫茶店とはどう言う意味ですかい?」

彼の顔を覗き込みながら、徳重は問いつめた。

本山は彼から顔をそらすと、またあさっての方向に視線を向けた。

徳重は逃がさないぞと言うように、また本山の顔を覗き込む。

「えーっと、キタキツネと言い間違えてしまいましてね、うん。

ナナコちゃんの髪の色はキタキツネみたいでかわいいね…と、うん」

「ほー」

徳重は腕を組み、首を縦に振ってうなずいた。