「なっちゃん!?」

瑛太と桑田の声が重なった。

彼女――夏々子の登場に驚いたのはもちろんだが、それよりも彼女の髪の色に驚いた。

「金髪って、結構時間がかかるんだね。

髪を染めたこと自体初めてだから基準がよくわからないけど」

夏々子の髪は黒から、白に近い金色に染まっていた。

その髪の色は、黒一色の服装によく映えていた。

「なっ…なっちゃん、どうした?」

桑田が幽霊でも見たような顔をしながら質問した。

「心機一転、あるいは戦闘の準備とでも言っておこうかしら」

夏々子はそう答えると、テーブルのうえに投げるように何かを置いた。

週刊誌だった。

「俺、金髪よりも“心機一転”って言う四字熟語を知っていたことに驚いたわ…」

瑛太がやれやれと言うように呟いた。