「――ソウ、ちゃん…?」

小さな声で宗助の名前を呼んだ夏々子に、宗助が驚いたと言うように自分を見つめた。

夏々子は、目を伏せた。

宗助はまた嬉しそうに笑うと、
「じゃあ、俺は“なっちゃん”って呼ぼうかな」
と、言って、夏々子をまた抱きしめた。

――生きていていいんだ…。

宗助のぬくもりに包まれながら、夏々子は涙を流した。

初めて、自分を受け入れてくれる人に出会えた。

宗助のために生きて行こう。

この人の手を、この人のぬくもりを離さない。

もし宗助の身に何かあったら、その時は身を犠牲にして彼を守ろう。

宗助を、彼がプレゼントしてくれたこの名前を、大事にしよう。

夏々子は宗助の背中に手を回した。

 * * *