膝が震えたのを感じて、夏々子は目を開けた。

部屋は真っ暗だった。

自分が眠っている間に、夜になったようだ。

「――あたし、いつ寝たんだろ…?」

夏々子は小さな声で呟くと、上半身を起こした。

床に落ちていたスマートフォンを拾うと、画面が光っていた。

桑田からの電話だった。

夏々子はスマートフォンの電源を切った。

「――ソウ、ちゃん…」

夏々子は呟いて、宗助の名前を呼んだ。

宗助が人を殺したなんて、ウソだ。

宗助が逮捕されたなんて、ウソだ。

「――ソウちゃん、眠れないよ…」

夏々子は、両手で頭を抱えた。

――眠るのが怖い…。

――怖いから、眠りたくない…。