――一緒に行くか?

今でも覚えてる。

あの日、差し出されたこの人の手のぬくもりを。

その手のぬくもりを受け入れることに、迷いもなければ罪悪感もなかった。

――これは、運命なんだ

まだ幼かったあたしは、この運命を受け入れる決意をした。

たとえこの先にどんな困難が待ち受けていようと、あたしはこの人と生きて行く。

この人の手を、ぬくもりを、絶対に離さない。

あたしは、その人の手に自分の手を重ねた。

雪が降り始めた、2月の夜のことだった。