日が傾き、西日が差し込む薄暗い廊下で、2人の影が重なろうとする。
唇の距離はあと数センチ……
「心咲の教育に悪いから、ご飯食べたあとに部屋でやってくんない?」
視線の先には、心咲の目を覆った冬歌が呆れた様子で廊下にいる澪と稚尋を見ていた。
「ママー、おねーちゃんたち何やってるのー?」
「んー? おねーちゃんたちはねー、ラブラブなんだよー。仲良しなの」
「ラブラブー! 仲良し」
「冬歌……頼むから、心咲に変なこと教えないでくれ。オレが悪かったから」
稚尋は耳まで赤くなりながら、片手で顔を覆っていた。
「ふふふ、冬ちゃん……あわわわわわ」
澪は、羞恥心と困惑で瞳に涙を溜めながら両手で頬を覆っている。