「愛してる」





 振り向いた澪に、触れるだけのキスをした。





 途端に耳まで赤く染まる澪。





 壁を1枚隔てた向こう側には心咲と冬歌がいるというのに。





「っ!! も〜、なに、急に」




「澪は?」




「へ?」




「オレ、告白した時も、ちゃんと好きって言ってもらってない」




 そんな昔のことを、まだ覚えていたのか。




 あの時は、恥ずかしくて、メールで気持ちを伝えたっけ。



 懐かしいね。




「……好きだよ」




 今なら、スラスラと言葉が出てくる。




「……愛してるは?」




 稚尋はいたずらっ子の笑みで次を要求してくる。





 こうなっては、稚尋をしりにしき始めた澪でも太刀打ちができない。



 スイッチが入った稚尋は、澪のご主人様なのだ。





「愛してるよ、稚尋」