希望にあふれる未来の話をする稚尋は、澪の頭に手を置きながら、優しく微笑んだ。




「ずっとお前を守るから。どんなことがあっても」




「……稚尋」




 そんなことを言われるだなんて、思ってもみなかった。


 出会った頃の印象は最悪で。


 数年後、こんな風に未来を語り合う関係になるだなんて、当時の自分が知ったらなんて思うだろう。



 悲しくて、寂しくて毎日1人で泣いていたお姫様。 それが朝宮澪。



 運命の王子様と出会い、その涙は意味を変えた。






「うううっ……えーん、稚尋ぉ……」




「も〜、俺が泣かせたみたいだろうが……泣くなよ」



 愛しいものを見る表情で、澪の涙を拭う稚尋。



 足元で、小さな命が稚尋の足をポカポカと手で叩いていた。




「いじめちゃだめー!」



 どうやら、澪が稚尋にいじめられて泣いていると勘違いしたらしい。

 頬を膨らます心咲に稚尋は困り果ててしまった。



「いじめてるわけじゃないんだけどな……」




「ふふっ」




 そんな風景に、澪は未来を見た。