* * *



「ねぇ、稚尋」



「ん?」



「楽しい?」



 澪は心咲の手を引きながら、稚尋の顔をのぞき込むように質問した。


 澪の質問に、稚尋は首を傾げ、眉を下げて笑った。




「なんだよ、突然」



 澪は不安だった。


 稚尋と2人きりになるはずだった今日は、ちいさな子と、私達。


 3人になった。



 それなりにクタクタになるまで遊んで、楽しい1日だったけれど。

 稚尋は、無理を言った自分を怒ってはいないだろうか。



 好きだから、こんな些細な事でも気になってしまう。



 首を竦める澪の様子に、稚尋はクスリと笑ってみせた。



「なぁ、澪」




「なあに?」



「……俺たち、将来こんな風になんのかな」



 稚尋は澪を見つめ、優しく笑っていた。



「え?」



「子供と、3人でさ、こうやって歩くのかなーって」




 稚尋はいつも、不安になった澪のそばにいてくれる。



 不安を取り除いてくれる。



 泣き虫な澪に、笑顔をくれる。



「そうだったら、嬉しいな」



 澪が微笑むと、たまらない、と言った表情で、稚尋も笑った。