「まぁ、そういうことだから、今日1日美咲のこと頼むよ」
コーヒーを啜りながらニッコリ満面の笑顔を見せる冬歌。
呆れて何も言えない。
「冬ちゃんは?今日1日家で何してるの?」
「ちょっと仕事が溜まっててね。心咲の面倒を見てくれるかわりに、留守番しとくからさ、お願い」
冬歌は屈託なく笑う心咲の頭を愛おしそうに撫でながら頼み込んだ。
彼女の表情は、母親そのものだった。
冬歌がこんなにも真剣に何かを澪に頼むのは初めてのことだ。
澪はそんな冬歌に優しく微笑んだ。
「うん!わかった!」
「はぁ!?っざけんなよ!澪!なんで子守りしなきゃなんねーんだよ」
反論するのは稚尋だ。
そんな稚尋の腰を軽く叩きながら、澪は眉間にシワを寄せる。
「可愛い甥っ子でしょー?いいよ、稚尋が嫌なら私一人で心咲くんとデートするから。ねー、心咲くん♡」
「うん!」
澪の笑顔に、心咲は心底嬉しそうに笑った。