そう言うと、冬歌は美味しそうに珈琲を啜った。



先ほどの芳ばしい香りはどうやらこの珈琲だったらしい。




心咲は先ほどから必死に稚尋に抱っこをせがんでいる。




「なんか……そう言えば、お母さん、昨日言ってた気がする……」




澪は顎に手をあて、考える仕草をした。




そうして昨夜、母親に言われた言葉を必死に思い出そうとした。









『澪、お母さん明日、朝からでかけてくるから!』




『ん?』



『朝ね、冬歌さんにお願いしたから、よろしくね』




『冬歌さんって……冬ちゃん?なんでお母さんが冬ちゃん知ってるの?』





『あんた、前に桜さんの家に泊まったことあったでしょう、あれから仲良くなっちゃって』





そう言うと、母親はニコニコ笑っていた。


















そうだった。





確かに、頼まれていた。





澪は記憶を呼び起こし、大きなため息をついた。
















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