そして。
「“ミサキ”がいるってことは、冬歌が来てるのか……」
一気に間合いを詰め、あわてふためく澪に口づけた。
「ふ……んんっ!?…ぁ」
朝からこんな熱烈な挨拶をされるとは思わなかった。
澪は必死に砕ける腰を足で支えながら、子供を床に下ろす。
“ミサキ”と呼ばれた男の子は、稚尋を大きな瞳で暫く見つめ、満面の笑みを見せた。
「ママ!」
ミサキは、稚尋までも、ママと呼んだ。
「お前のママはどこにいったんだ?ミサキ?」
「…あっち!」
稚尋がミサキに尋ねると、彼は台所を指差した。
まさか、冬歌が来ているのだろうか。
だとしたら、この男の子は冬歌が連れていたことになる。
澪が耳を澄ますと、台所の方からお湯を沸かす音がした。
どうして冬ちゃんが、私の家に……?
ますます混乱し、澪は首を傾げた。
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