すると、弥生は雛子の異変に気がついた。
「ひ、な……?」
雛子の小さな手が、小刻みに震えていたのだ。
次の瞬間、絞り出すような雛子の笑い声が聞こえた。
「……はっ、温かいね弥生は……」
弥生の背中に回された雛子の手に力が入る。
弥生に必死にしがみつく雛子の姿は、温もりを求める幼子に重なった。
今にも消えてしまいそうな雛子の姿に、弥生は意を決する。
そして。
「ごめんね」
優しく雛子の体を抱きしめた。
その瞬間、雛子の体が強張る。
それでも、弥生は抱きしめた腕を解こうとはしなかった。
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