* * *


♪…♪♪〜♪



「…?」





一人になった途端、携帯が鳴った。



その宛先に、雛子は思わずあっ…と声を漏らした。








傷心の自分に、なぜ彼がこのタイミングで?


言いたい事は沢山あったが、何故か。




本当に唐突に、雛子の手は通話ボタンを押す。









そのまま電話をかけると、コール音がしないまま、即座に相手が出た。




「あ、もしもし?」





我ながら、あまりにも冷静な声色だったと思う。

大嫌いだった筈なのに。

今は何故か、彼に同情までしかけている。







私は…頭が可笑しくなったのだろうか。



それとも、今が精神不安定だから?




遠回しにフラれた事に気付いても、涙すら出ないのは心が麻痺してしまったからなのだろうか。