昔からそうだった。
どんなに願っても、1番手に入れたいものはどうしても手に入らなかった。
つくづくついてない女だとは思う。
でも…一度くらいは…そんな淡い期待すら叶った試しはないのだ。
「ちょっと疲れててさ、ほら…澪も意外と惚気ますからー…」
そんな冗談を口にしながら、渇いた笑いを向けた。
何が何でも。
最後は雛のプライドを守ろう。
そう決めていた。
必死に雛子がついた冗談に、聖夜は一瞬真面目な表情になり、一言言った。
「俺、お前がそう言ったって…この関係崩すつもりはないよ」
雛子を見つめる聖夜の瞳は何の迷いもない、真っすぐなものだった。
その強い意志の宿った瞳に雛子は言葉を失ってしまう。
完全に雛の負けだ。
また一つ、不幸が増えるだけ。
そう考えれば、案外楽になれるかもしれない。
ギュッ
雛子は聖夜に気付かれない様に強く自身の拳をにぎりしめた。
.