「澪ちゃんなら、稚尋に連れてかれたよ」


なんとも可愛いげのない声でそんな言葉を発した。



どうしてこんなに心の中が掻き乱されるのだろう。


雛…こんなに可愛くない女じゃなかった筈なのに、な。






「まーたあいつか」

聖夜は雛子の言葉に大きくため息をつくと、茶色い髪の毛をくしゃくしゃと掻きむしりながら呟くようにそう言った。





ねぇ。

どうして聖夜はそんなに素直に、純粋に叶わない恋を追い続けられるの?


相手には恋人もいて、聖夜の事は友達としか思ってないのに。






可笑しいよ。絶対可笑しい…………。
















ギュッ………






雛子は溢れ出しそうな感情を抑えるかのように下唇を噛み締め、俯いた。


それに聖夜はすぐに気付き、何を思ったか雛子の頭の上に自分の手を置いた。









「どうした」





やめてよ。



そんなの反則だよ……








そんなに優しくしないで。


私に…触らないで

近づかないで……。













泣いちゃうから。