* * *




(あーあ…。稚尋に澪ちゃん持ってかれちゃった)



澪が去った後、一人になった雛子はこれでもか、と言う程つまらなそうに大きなため息をついた。



「いい。幸せなのはいいんだけどさー!?…はぁ。なんか、ばっかみたい…」



「何が?」



ビクッ!


自分意外いるはずのない場所からの突然の声に思わず体が反射的に跳ねる。



恐る恐る振り向いてみれば。









「…。なんであんたがここにいんの」




そこには更にありえない人が立っていた。


本当に心臓が今この場で止まってしまうのではないか。


それくらいの衝撃だった。のだけれど。


対した焦りもなく、逆に冷静になってしまう雛はおかしいのだろうか?




「いや、朝宮が見えたから何話してんのかなーって思ってさ」



好きな人の事は何でも気になるってやつ?
…早く告白しちゃえばいいのに。





「女の子の話〜」


からかう様にそう言うと、彼は何の戸惑いもなく雛の隣に腰を下ろした。





ドキッ…






不覚にも、ときめいてしまったのは内緒。