嗚呼、やっぱり。



やっぱり!?





「ち…稚尋…」





後ろから抱きすくめられる形となり、稚尋の体温、吐息までもが鮮明に感じられてしまう。



そのまま耳元で低く囁かれると不覚にも体がビクリと震えた。






「…ちょっと来い」




「え、ちょっ…」




グイッ!


急に腕をひっぱられ、そのまま体制を崩し稚尋の胸に倒れかかる形となる。





「ちょっ…」



「悪い。雛、ちょっと姫借りてもいいか?」



「はぁ!?」





「どうぞどうぞー。報告はよろしくねー!」





「雛っ!」



私の気持ちは完全無視ですか!?




「いいじゃーん?ラブラブ最高ー!」



うっわ、駄目だ。
なんか完全に楽しんでるよ…。



稚尋は相変わらず私を後ろから抱きすくめたまま、放そうとはしなかった。


いくら人通りが少ない場所だからとは言え、流石に見られるのではないかと言う緊張感を抱えていた。