〔………澪?〕


そんな状況では、稚尋の声を聞くだけで涙腺はすでに崩壊寸前だった。








「ち……ちぃ………っ…っ」


言葉が繋がらない。


でかかった涙のせいもあるかもしれないが、それよりも。







話してしまっては、涙が零れる。


もはやどうしようもなかった。
















……本当、ウザイ女。























〔……ひーめっ♪〕



「…ふぇ?……っ」



必死に涙を堪えていれば、唐突に明るい声が聞こえた。







“姫”って呼んだ。


ただそれだけだったのだけど、どこか懐かしく思えてしまった。













〔もう、今回の事はやめにしよう?〕



「え?」



〔姫は俺のためにやってくれた事なんだし。それで姫に泣かれちゃ、俺……姫襲いたくなっちゃうもん〕



ハートマークつける意味はあるのだろうか!?




そんな稚尋の言葉を耳元で聞いた澪の顔は瞬時に赤く染まる。





真っ赤に熟れた林檎のように。