夜、あたしは稚尋に珍しく自分から電話をかけた。
「もしもーし」
〔あ、珍しいな?お前から電話なんて?どした?〕
「いや、何してんのかなーって」
本当は、ただ声が聞きたかっただけなんだけど。
早く声を聞いて、安心したかっただけだから。
〔寝てたよ?…あ、そう言えば!ずっと聞こうと思ってたんだけどさ、〕
突然の質問に、澪は首を傾げた。
「何?」
〔…弥生の作戦ん時、お前家にいたじゃん?お前…俺にタオルかけた?〕
「は?何ソレ?」
なんだそりゃ。
〔え?澪じゃねーの?〕
「あたし、稚尋の家のタオルの場所知らないし?」
いったい誰?
ふざけた言い方で、澪は稚尋に言った。
最近は、澪も稚尋をからかえるようになった。
これも、二人が対等に付き合えるようになった。
大きな進歩だ。
「あ、もしかして浮気ィ?」
なるべく笑みを零さないように、澪は深刻そうな声を出した。
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