* * *
不思議な事に、生まれた時から今まで父親と会話をした事がなかった。
勿論、親子でキャッチボール…なんて事も経験がなかった。
それは勿論母のせい。
塾に家庭教師。
ピアノにスイミング。
僕に遊びの暇なんて、今まで存在していなかったのだ。
『弥生、お勉強は?』
『テスト、どうだった?』
『先生、何か言ってた?』
いつも会話はソレ。
『学校楽しかったか?』
とか。
『遊ぼうか』
なんて、聞かれた事も言われた事も今までなかった。
僕はずっと篭の鳥。
空を飛べない卑屈な鳥だった。
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