* * *
「……バカ兄貴…」
夜はやっぱり風が冷たい。
ながらく外にいたせいで、鼻の頭が赤くなった。
サンタのトナカイみたいに。
澪にちょっとした挑発をしたあの日。
あの日から、兄さんのマンションにはあまり帰ってはいなかった。
正直言って、兄さんが大嫌いだから。
僕の苦しみなんか全く知らない兄さんが憎い。
母さんに開放された兄さんがうらやましい。
兄さんは、僕の欲しいものを全部持っていて。
人の気も知らず、のうのうと生活していた。
それが余計、腹立たしかった。
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