◆◇◆◇
人混みを掻き分けつつ、私と上村は一軒ずつ出店を見て回った。
その中でも、やっぱり食べ物の匂いは魅惑的だった。
お腹が空いていたのもあり、買っては食べ、買っては食べ、を飽きることなく繰り返す。
あれから上村もよく喋ってくれたので、緊張も解け、一緒に過ごす時間が楽しくなっていた。
そんな時、私はふと、あるひとつの出店に目が留まった。
「ヨーヨー釣りだ」
ポツリと零した私の言葉に、上村も反応する。
私達の目に飛び込んだのは、ゴムの付いた小さな風船が水に浮かんでいる光景。
そこでは、小学生ぐらいの子達が群がり、プラスチックと紙で出来た簡素な釣り針を使って、それらを釣り上げようと真剣になっている。
「やりてえの?」
上村の問いに、私は「さあ」と首を捻った。
「何となく気になるけど、凄いやりたいわけでもないし」
「何だそりゃ」
上村の突っ込みはもっともだと思う。
言ってる張本人が、どっちなんだよ、と突っ込みを入れたい気持ちなのだから。
「ああっ!」
突然、ヨーヨー釣りをしていたうちのひとりが大声を上げた。
「んだよお……! せっかく二個取れそうだったのに……」
ブツクサとぼやいている男の子に、屋台の兄ちゃんが、「残念」と歯を見せて笑う。
「まあでも、一個は釣れたんだし」
「そうだけどさあ……」
男の子は、まだ不満を言いたそうにしていたけれど、結局は諦めたらしく、唯一釣れたヨーヨーを手に、黙ってその場から立ち去った。
人混みを掻き分けつつ、私と上村は一軒ずつ出店を見て回った。
その中でも、やっぱり食べ物の匂いは魅惑的だった。
お腹が空いていたのもあり、買っては食べ、買っては食べ、を飽きることなく繰り返す。
あれから上村もよく喋ってくれたので、緊張も解け、一緒に過ごす時間が楽しくなっていた。
そんな時、私はふと、あるひとつの出店に目が留まった。
「ヨーヨー釣りだ」
ポツリと零した私の言葉に、上村も反応する。
私達の目に飛び込んだのは、ゴムの付いた小さな風船が水に浮かんでいる光景。
そこでは、小学生ぐらいの子達が群がり、プラスチックと紙で出来た簡素な釣り針を使って、それらを釣り上げようと真剣になっている。
「やりてえの?」
上村の問いに、私は「さあ」と首を捻った。
「何となく気になるけど、凄いやりたいわけでもないし」
「何だそりゃ」
上村の突っ込みはもっともだと思う。
言ってる張本人が、どっちなんだよ、と突っ込みを入れたい気持ちなのだから。
「ああっ!」
突然、ヨーヨー釣りをしていたうちのひとりが大声を上げた。
「んだよお……! せっかく二個取れそうだったのに……」
ブツクサとぼやいている男の子に、屋台の兄ちゃんが、「残念」と歯を見せて笑う。
「まあでも、一個は釣れたんだし」
「そうだけどさあ……」
男の子は、まだ不満を言いたそうにしていたけれど、結局は諦めたらしく、唯一釣れたヨーヨーを手に、黙ってその場から立ち去った。