「おー、暑ぃ。さすがに連ちゃんはキツいなー」

「無闇に張り切るからでしょうが。タキモトくんを迎えての親睦ゲームなんだから、適当に楽しめばいいのよ。何、ムキになってるんだか」

 汗一つかいていなさそうな涼しげな表情で、玲子がチクリと言葉の棘を刺すが、晃一郎は気にするふうもない。

「なんでも手を抜かないのが、俺のポリシーなの」

「初めて聞いたわね、そんなポリシー。いっつもテキトーに手、抜きまくりで卒なく流している気がするんだけど?」

「おっ、いいもの発見!」

 言外に不信感と疑惑の念を色濃くにじみ出させる玲子の値踏みするような視線を、僅かに肩を竦めただけで事もなげにスルーした晃一郎は、優花が握りしめていたスポーツ飲料のペットボトルをひょいと取り上げると、当たり前のようにごくごくと飲みだした。

「晃ちゃん……」

 ぴきり、と優花のこめかみに青筋が浮く。

 その無遠慮な態度が、ただでさえ切れかけていた優花の堪忍袋の緒に負荷をかけている。

「ん? ああ、ごちそうさん」

 ぽん、と一気に半分の重さになったペットボトルを手の平に戻された優花は、昂ぶった気持ちを抑えるために、一つ大きく息を吐きだした。

「晃ちゃん……どういうつもりなの?」

 本当は語気を荒げて問い詰めたいところだが、リュウと玲子がいる手前そうもいかない。

 かなり引きつり気味の笑みを浮かべ、優花は努めて冷静に言葉を発した。