――そりゃあ、夢の中のことだけど。
あそこまでリアルだと、なんだかとってもショック。
その上、相手が幼なじみの『晃こうちゃん』、御堂晃一郎だったなんて。
幼なじみのお隣さんで、同じ高校で、おまけに同じクラスで、ついでに隣の席で。毎日顔を突き合わせなきゃいけないのに。
うううっ。
今日、どんな顔をして会えばいいのよ、私?――
もちろん、晃一郎のことは嫌いではない。
それこそ、生まれた時からのお隣さんで、家族ぐるみのお付き合いだ。同じ年齢なこともあって、幼い頃はまるで兄妹みたいに仲が良かった。
昔から面倒見が良くて、いつも笑わしてくれる『晃ちゃん』は、子供のころ極端に人見知りだった優花にとっては唯一の遊び相手で、幼い彼女の世界は、『晃ちゃん』の存在を中心に回っていたと言っても過言ではない。
幼稚園から高校まで見事に同じ学校で、高三になった今は同じクラスにいる。勉強はソツなくこなし、ガリ勉ではないのにいつもテストは上位にいて、均整の取れたスラリとした肢体と高身長、スポーツ万能で運動神経は抜群。
色素の薄い茶髪と同じ色合いの明るい瞳はくっきり二重で、寝不足だとすぐ腫れぼったくなってしまう奥二重の優花からすれば、羨ましいくらいで。
性格も、明るく快活で人見知りをしない。だから、昔から女の子にモテる。にも関わらず、なぜか特定の彼女を作らず、いつ見ても違う女の子にモーションをかけられている不思議な人でもある。
友人で作家志望の村瀬玲子の言葉を借りれば、『アレは、来るもの拒まずのただの節操なし!』、と言うことになるけれど。