「ここではたまにそういうことがあって、迷い込んできた人間を『イレギュラー』と呼んでいる」
イレギュラー?
そういえば、意識がもうろうとしていた時に、晃一郎がそんな言葉を言ってた気がする。
確か、『イレギュラーでもなんでも、間違いなく優花なんです!』とかなんとか。
――ええっと、英語だよね。どんな意味だっけ?
レギュラーじゃない、って感じかな?
レギュラーって、正式とか正規とか言う意味だったから、イレギュラーは……。
などと呑気につらつらと考えていたら、晃一郎はこれでもかと、最終爆弾を投下した。
「ここは、お前が居た世界と似ているが、全く別の世界。つまり、パラレル・ワールドなんだ」
――は……? はいっっ!?
ちょっ、ちょっ、ちょいまちっ!
今なんて言った、このお人。
お前が居た世界に似ているが、全く別の世界?
パラレル・ワールド?
何、その超・SFかつファンタジーな展開はっ!?
いやいやいや、待てよ。
常識的に考えて、そんなことが起こるわけはない。
ってことは、これは冗談だ。
そう、質の悪い、冗談っ!
「いや、残念だけど冗談じゃないんだ……」
「え?」
――今、私、声に出して言ってないよ……ね?
疑惑の眼を向けていたら、晃一郎が少し『しまった』的な表情を浮かべて咳払いをした。