「まさか……」

 最悪の結果が脳裏をよぎり、その先を言葉にすることができない。

「おじさんとおばさんの安否は、わからないんだ」

「……え?」

 安否がわからない?

「俺がお前に呼ばれて事故現場に行ったとき、居たのは優花、お前だけだった」

「え?」

 私が、晃ちゃんを、呼んだ?

 確かに、晃ちゃんのことをチラッと思い出したような気はするけど、呼んだっけ、私?

 それに、SOSに飛んでくるスーパーマンじゃあるまいし、呼ばれたからって助けに来られるものなの?

 そもそも『呼ばれてくる』って、意味が分からない。

「おじさんとおばさん、二人の行方が分からない、ってこの場合、たぶん行方不明なのはお前の方だけど」

「は?」

 行方不明が、私?

 私はここにおりますが?

 もしかして自分は、頭を打ってどこか回線がうまく繋がっていないのかもしれないと優花は思った。

だって、晃一郎の言ってることが、全然、全くもって理解不能だ。

 酸欠の金魚宜しく点目で口をぽかんとあけていたら、さらに理解不能な言葉が追い打ちをかけた。

「落ち着いて聞いてくれ」

「う、うん……?」

「たぶん、お前はパラレル・スリップをしたんだと思う……」

 パラレル、スリップ?

 何か、滑ったんだろうか?

 聞きなれない単語に眉を寄せている優花に、やはり同じように眉を寄せながら晃一郎は言葉を続ける。