――だって、金色頭って、明らかに変でしょうが?

 バカにされている気がして、思わず頬がぷうっと膨らんでしまう。

 そんな優花に向けられる晃一郎の眼差しは優しい。

「元気になって良かったな」

 意外に優しい声音が降ってきて、おまけにポンポンと頭を叩かれ、ついでにほっぺをムギュッとつかまれて、何だか妙に照れくさくなってしまう。

「う、うん、ありがとう」

――なんだか、髪の色だけじゃなくて、いつもの晃ちゃんと違う気がする。

 こう何というか、いつもより、フレンドリー?

 それにしても、なぜ晃ちゃんがここに居るのだろう?

 たぶんここは病院だと思うけど、普通こういう時は家族が最初に面会に来るものじゃ――。



 そこまで考えを巡らせて、肝心なことを聞き忘れていたことに気付いて、ドキリとした。

 聞くのが怖い。

 でも、聞かない訳にはいかない、大切なこと。

 晃一郎の手を借りてベッドの上に上体を起こした優花は、ギュッと唇をかみしめ、意を決して言葉を絞り出した。

「晃ちゃん……」

「うん?」

 逸らしたくなるのを必死にこらえて、真っ直ぐ晃一郎の瞳を見据える。

「……お父さんと、お母さんは?」

 何かをためらうように、微かに揺れる晃一郎の瞳。

 答えの代わりに、残酷な沈黙が落ちた。