『父と母の未来を奪ったのは、娘である私だ』

 その贖罪の気持ちは、どうしてもぬぐえない。

 それに、置き去られた記憶の中にあるのが、必ずしも楽しいものとは限らなかった。

 知りたくて、知るのが怖くて。それでも、絶対にその存在を忘れることができない、失われた記憶。

 今、優花が見ているのは、まだ一度も見たことが無い『失われた空白の三か月間の夢』だった。

 苦しい――。

 痛みは感じないのに、どうしようもなく、苦しい。

 体が、自分のものだという気が、全然しなかった。

 手も足も、指一本でさえピクリとも動かせず、瞼を上げることすらできない。

 唯一機能しているのは、耳。聴覚だけだ。

 ピッ、ピッ、と言うハイトーンのデジタル音が、一定間隔で鳴っているのが聞こえる。

 それ以外は、全く分からない。

「う……っ……」

 声を出そうと喉に力を入れてみても、くぐもったうめき声が上がるだけで、言葉にならない。

 私、どうなっているの?

 お父さんは?

 お母さんは?

 どこ。

 どこいにいるの?