実のところ、今年のクリスマスをどういう風に過ごしたらいいかを少し悩んだ。
 イヴを叶と、クリスマス当日を樹と・・・っていうパターンを考えるべきか。
 それともいっそのこと三人で・・・とか。
 ・・・どれもかなり体力勝負になりそうだと内心、苦笑い。
 どっちにしても叶は最後に、あたしを独り占めにしたいのだろうから。
 色々考えた挙げ句、決定権は向こうにあるっていう初歩的なミスを思い付いたのだった・・・。





「今年は、ホームパーティにしようか」

 クリスマスがすぐそこという頃になって。
 夕食後の片付けをしていたあたしに叶が声を掛けてきた。

「ホームパーティ?」

「そう。樹と三人で。場所は秘密だけどね」

 悪戯っぽい笑みを浮かべて、あたしの反応を愉しんでいそうな。 
 ・・・叶には見透かされてるかな、やっぱり。
 クリスマスは特別なの。
 だってそこから始まった。
 だから三人で一緒に。これからもずっと、そうしていきたいとあたしが思っていること。
 
「リツは何も気にしないでいいよ。僕らに任せて?」

「はぁい」

 相変わらず。段取りは完璧らしい。
 今年はどんなサプライズが待っているのやら。
 ワクワクしてくる。

「それが終わったら、こっちにおいで」

「うん」

 料理はほぼ叶の担当。片付け、掃除、洗濯はあたしの受け持ち。
 すっかり定着した二人のライフスタイル。
 志穂さんを亡くしてから自分でしていたという家事も手慣れていて、全部出来るのを、あたしが手伝わせて貰っているようなものなんだけれど。
 そう言えば樹も、料理は得意だ。
 あたしは簡単なものなら作れる程度の腕だから、神様のこの引き合わせには心から感謝しないと。
 キッチンを綺麗にしてリビングに戻る。
 叶はソファでテレビ番組を聴き流しながら、本を読んでいた。