余韻に躰をうねらせて身悶えるあたしの耳許に、笑いがくぐもる。

「好きって言ってみな。・・・そしたら俺を好きなだけ、やる」

「・・・・・・すき・・・」

「ちゃんと見て言えよ」

 大きな片手に優しく頬を掴まえられ。
 野性味のある端正な顔立ちが、あたしを間近で見下ろしている。

「・・・・・・好き」

 樹の目を見ながら。
 しっかりと自分の口で。

「叶とは違うけど・・・好き」


 きっと。
 叶と樹と、どちらが欠けても駄目なの。
 あたしには二人が必要なの。
 ずっと。
 ふたりの人形でいたいの。